バックロードホーン・スピーカー

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このページのカウント数は です。(2002年6月1日以降)
最終更新日は、2002. 6. 1 です。


いきさつ

やきのりアンプのコーナーからの続きですが、そもそもはじめは真空管アンプを作ろうと思ったのでした。しかし、30年前の大昔はともかく、現在たとえアンプを作ったとしても、ここしばらく電子工作関係やオーディオをやっていなかったためつなげるスピーカーがありません。しかし、市販品にないようなアンプを作るのに、どこにでもある安めの市販のスピーカーをつなぐというのも今一です。(高めの市販スピーカーは買えないし、置く場所もないという問題も・・・)そこで、スピーカーもこの際一緒に作ろうと考えました。アンプも超三結で作るのだから、スピーカーも普通にはないものをと調べてみると、バックロード・ホーンというものがあることを知りました。そもそも自作スピーカーといえば、昔FMエアチェックをやっていたころに、FM雑誌でさんざん長岡鉄男氏の記事を読みましたが、当時は興味がなく作ろうとは思いませんでした。(FMチューナーは作ったんですが・・・古い話で、FM東京がついに本放送開始というころです。J-WAVEではないですよ。14:05から「ステレオ歌謡バラエティ」という番組が毎日あったとか、コアな話はきりがないですな・・・・)しかもこのバックロード・ホーンも、昔からあったもののやはり超三結アンプと同様に1990年代に流行ったようで、知らないうちに世の中進歩していたのかと思いました。ここまで知ると、このコーナーに書いたような理由から超三結アンプを作ろうと思った変人思考回路を持った人間としては、当然作るスピーカーの種類はバックロード・ホーンしかありません。
というわけで、いろいろ調べて長岡鉄男氏の本を買いまして読んでみました。スワンなどの個性的なスピーカーが紹介されていますが、どれもすごそうです。実は、今までまともにスピーカーを作ったことは一回もありません。木工工作もしてないし、工具もないとなると、いきなり作れるとは思えませんでした。しかも、製作記事を見ると、スピーカーのサイズも大きくて、ちょっとこちらの環境では手が出ません。金も無い上置く場所も無く、困ったものです。さらに、近くのホームセンターに行ってみると、スピーカーに使えるような木材は置いてないのですね。机とかラック用のパイン材は沢山ありますが、シナ合板などはありませんでした。(あくまでも簡単に行ける範囲の店を見た限りの話で、他の店にはあるのかもしれませんが・・・)という感じで進路が塞がってきましたが、バックロード・ホーンで小型で安くて自分で板の切断加工はやらなくてもよい選択肢は???と調べてみると、MAKIZOUさんがありました。しかも、長岡鉄男氏の本にのっている一番小さいバックロード・ホーンよりもさらに小さいのがあるではありませんか。これなら何とか置けそうだし、値段も小さい分安いということで、今回はMAKIZOUさんにお世話になることにしました。お願いしたのは8cmバックロードホーン M-8BHのシナアピトン使用タイプです。吸音材も一緒にお願いしました。しばらくして到着しまして組み立てに入りますが、MAKIZOUさんの板は寸法精度がすばらしいです。今回は釘は使わず木工用ボンドだけで組み立てたのですが、自分で組み立てる時にすこしずれることはあっても、板そのもののサイズは全然ずれていません。
SPEAKER'S CUT MAKIZOU---マキゾウさんです。こちらでは、真空管アンプのことを「やきのり」、バックロード・ホーンのことを「まきぞう」と言うようになってしまいました。


製作

全材料を出したところ まず、MAKIZOUさんから送られてきた全部の材料を出してみます。全部でこれくらいですので、コンパクトでいい感じです。
作り始め 木工用ボンドのみで接着し、釘は使いませんでした。小型のものですし、それで十分です。製作は簡単で、MAKIZOUさんの説明書どおりに順番通りに作れば良いのですが、ボンドが乾くまで待ち時間が入るので、「今週はここまで、あとは来週」という感じでなかなか進みません。
ほとんど接着しました ようやくここまで来ました。迷路のようです。ここを音が通るとか、想像しながら組み立てていきます。ちょっと説明書と手順が違いますが、片方の側板の上に内部部品を全部接着していきます。
側板以外は完成。石と吸音材 最後の側板接着前の様子です。この状態が構造を見るには一番ですが、側板を張ってしまうと2度と見られませんので記念撮影です。ユニットの下方の部分に吸音材を詰めました。たくさん買ったのに使用量は少しです。一番下の板のところに敷く砂は、金魚用の石にしました。石をこぼれないようにビニール袋に入れてそれを配置し、その上からフェルトをかぶせて吸音&見栄えを良くします。ユニット用の配線をお忘れなく。側板を付けてしまうと当然配線不可能になります。
水性ニスを塗る 本体の塗装は水性ニスでやりました。水性は臭くないていいですね。室内で塗るにはこれが一番です。塗装前にはサンドペーパーをかけたのですが、組み立て精度が悪くてすこしずれたのと、ボンドがはみ出たまま固まった箇所があり、そこにはきれいにニスが乗りませんでした。さらに、安めの筆で塗った上、塗装技術が無いので結構むらになっています。
ユニットをつけて完成 ニスが乾いた後でユニットを取り付けました。ユニットは、FOSTEX の FE-87E です。CRTやテープやフロッピーの時代も終わろうとしているので別にいいのですが、一応防磁型にしました。これはやきのりアンプのコーナーに書いたアキバ買出しのときに一緒に買いました。ネットも一緒に買ってきました。型番はSpeaker Grill K308です(2個入りです)。特に小さいお子さんや猫がいるお宅ではネットは必修と思います。
やきのりアンプとセッティング やきのりアンプといっしょに常置場所にセッティングしました。場所は簡単な机の上です。プライベートな部分はモザイクしていますが、要するに、床にスピーカーを置ける場所は全くないのです。テーブルの上を少し整理して、そこに強引にアンプとスピーカーを置いています。幸いなことに、この M-8BH のサイズのおかげで、机の上においても大きすぎる感じはしません。ユニットの高さがちょうど椅子に座った時の耳の高さに来ます。音を出してみます。ソースはCASIOのポータブルCDプレーヤーの PZ-860 です。ここに置くにはぴったりのサイズですし、性能もちょうどいいと思います。ディスクの回転が透けて見えるのも、昔のLPレコードのようでいいです。






試聴

やきのりアンプとまきぞうが両方完成してからの試聴になりましたので、両方の要素が合わさった音ということになります。まずバックロード・ホーンですが、よく言われているように、最初はこもりがちの音で高音が出ていない印象でした。8cmのユニットですが、バックロード・ホーンの威力か、低音不足は全く感じません。よくありがちな、無理やりトーンコントロールで低音を増強したような不自然な感じも全くなく、自然に出ています。定位感もいいです。フルレンジ1本なので、定位に関しては最高のコンディションです。まだエージングというほど聞いていませんが、1週間くらい聞いた段階で、だいぶ高音が出てくるようになった印象です。自分で作ったということも大きいでしょうが、本当に生き物のようで面白いですね。
真空管アンプの方ですが、FETをトランジスタに変えてからは低音量でも歪んでしまうことがなくなりました。ただ、もともと 6BM8 はパワーはないですし、超三結方式自体パワーを求める回路ではないので、大音量を楽しむアンプではないと思います。ギンギンのロックや大編成のフルオーケストラをフルに鳴らす・・・という用途には力不足です。(まあそれでもTVやPCのスピーカに比べればずっと良いですが。)小編成のジャズやボーカルが一番いいです。JAZZもいいですが、70年代の雰囲気という点ではカーペンターズを流しておくのが一番でしょう。特に女性ボーカルでは音の解像度と鮮度が重要と思いますが、超三結の特徴なのか、これらについては満足です。電源ハムも全く出ていません。強いていえば音量を最大にするとCDプレーヤーの回転ノイズが出ますが、そこまで音量を上げることはないので全く影響ないです。視覚的には、夜は暗めにして真空管のヒーターを楽しめるのは勿論ですが、昼間は逆にニスの塗り方が下手でがんがんにむらがあるところで、そのむらの出来具合が程よい?です(しかし、写真でもわかるくらいむらがありますね)。

PCや雑誌、その他日常的に必要なものが多い家の中で、この「やきのり」と「まきぞう」の一角だけが、日常生活を超越した1970年的な空間となりました。特にこのサイズは、床に物を置く余裕のない人でもできますのでお勧めです。

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